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杉原祐之句集『先つぽへ』鑑賞。その6

Ⅵ.「海女小屋」平成二十一年成人式終へて上りの特急に 「成人式」が季題で冬。上京して大学に通っているのでしょうか、下宿先の自治体の成人式では知り合いもいないので、実家に帰って成人式に出席したのです。同窓会があったり、久しぶりに顔を合わせた友人と積もる話もあるのでしょうが、試験も迫っていて、明日の授業に出ないわけにも行きません。後ろ髪引かれる思いで特急列車に飛び乗ったというのです。無駄なく叙していま...

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杉原祐之句集『先つぽへ』鑑賞。その5

Ⅴ.「土に引つ張られ」平成二十年旧正の福の字鎧ふ金の糸 「旧正」が季題で春。「北京 三句」の一句。華僑も含めて中国人は、春節といって旧暦で正月を祝います。その飾りに「福」という字が金の糸で鎧うかのように刺繍してあったという句。そうは言っていないですが、布地の真っ赤な色が見えてきて、金糸とのコントラストが見事です。 「旧正の」とつなげるか、「旧正や」と切るか、どちらも出来そうな気がします。「の」の方...

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杉原祐之句集『先つぽへ』鑑賞。その4

Ⅳ.「出張の帰り」 平成十九年余り苗魔除の如く置かれたる 「余り苗」が季題で夏。「『夏潮』初の稽古会、石の湯」と詞書があります。田植えを終えて余ってしまった苗が、田圃の傍らに置かれているのです。それがまるで「魔除」のようだったというわけです。一つかみほどだろうと思いますが、苗の量と、無造作にではあっても、棄てられているというほどではない有り様が見えてくると思いました。出張の帰りの植田明かりかな 「...

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杉原祐之句集『先つぽへ』鑑賞。その3

Ⅲ.雛舟(平成十七年~十八年)尻端折る男の美学神輿舁く 「神輿舁く」が季題で夏。神輿を舁くときの尻端折りを、「男の美学」と言い切ったところが面白いです。尻端折りなどということが絶えて久しい現代なので、「男の美学」もぎりぎりわかるのだと思います。とにかく、感じたことをストレートに表現してあるところは気持ちがいいです。高層のビルより夕立見下しぬ 「夕立」が季題で夏。視点が珍しいのはもちろんですが、夕立...

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杉原祐之句集『先つぽへ』鑑賞。その2

Ⅱ.「百畳の一畳」平成十四年~十六年 百畳の一畳使ふ昼寝かな 「昼寝」が季題で夏。数の面白さだけの句だろうという批判もありそうですが、少し親切に鑑賞します。ポイントは「畳」で、畳敷きの空間を思い浮かべると「昼寝」という季題が物を言うようになります。日本の建築には壁が少ないと言われますが、襖を取り払った広間を風が吹き抜けている感じがしてきます。自他で言えば自分を詠んだ句と解する方が気持ちよさが出ます。...

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