Tag夏潮 1/76

本井英句集『二十三世』。

 本井英先生の句集『二十三世』(2021年10月、ふらんす堂刊)が出版されました。 2020年の一年間、ふらんす堂のホームページに連載された「俳句日記」をまとめた一冊です。本書には、俳句とともに毎日のエッセイが収録されています。コロナ禍の連載ということもあり、季題についての知見や虚子の句、思い出話が話題の中心をなしています。とりわけ、思い出話は先生の人生の一コマを彷彿とさせるもので、面白かったです。  告ぐ...

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田尻くがをさん句集『常陸―俳句自分史―』。

 「夏潮」でご一緒させていただいている田尻くがをさんから、句集『常陸―俳句自分史―』(2020年10月、私家版)をいただきました。ありがとうございます。 大成建設で電気設備の設計をされてきた方で、専門家として執筆、講演等にも活躍されました。また、剣道にも造詣の深い方で、「夏潮」では100号記念祝賀会で奉祝演武を披露して下さりました。本書は、既刊句集に収録された約5000句から、自分史にふさわしい1000句を精選され...

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本井英主宰近詠鑑賞。「夏潮」2020年9月号

  毛虫焼けば数珠繋がりに墜ちにけり 「毛虫焼く」が季題で夏。木の枝にでも絡め取った何匹かの毛虫に火をつけたのでしょう。すると、燃えながら毛虫がばらばらと枝から落ちたのです。この句は、その様を「数珠繋がり」と表現していますが、毛虫の落ちざまがよく見えてきます。同時に、「数珠」という言葉に、放っておくこともできず仕方なく焼く毛虫に対する供養の気持ちが出ていて味わい深いと思いました。  木耳の重さずし...

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本井英主宰近詠鑑賞。「夏潮」2020年7月号

  惜しむべき春としもなく過ぎゆくよ 「春惜しむ」が季題で春。何か良くないことが起こった春だったのでしょう。それでも、時がものを解決するように過ぎ去っていくことだと感慨を深くしているのです。虚子に「時ものを解決するや春を待つ」の俳句がありますが、これは冬の間にややこしい出来事があったことになります。掲出句の場合は、謳歌すべき春を不本意に過ごし、それがようやくという気持ちを詠っています。いずれにして...

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本井英主宰近詠鑑賞。「夏潮」2020年6月号

  料峭や病禍地を這ひ海に浮かび 「料峭」が季題で春。風がまだ寒く感じられる頃、流行病が広まってゆくのですが、大地を這うように感染地域が拡大し、一方では海に浮かんだ島の中で爆発的な感染が起こっている、という俳句です。今回のコロナウイルスにあてはめれば、「海に浮かび」はクルーズ船、ダイヤモンド・プリンセス号ということになります。「病禍」の描写として、「地を這ひ」はわかりやすいですが、「海に浮かび」は...

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