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俳諧師 前北かおる

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「句評」


Category: 俳句 > 初めての俳句   Tags: 夏潮  初めての俳句  タイドプール句会  
 10月21日のタイドプール句会では、「句評」をテーマにお話ししました。

 次回から、その日の選句稿の中からお一人一句評をしていただきます。句評にも色々なやり方がありますが、あまり抽象的、感覚的過ぎると、雲を掴むような話になってしまいますので、一つのモデルをお示しします。
 全体は、季題の指摘、解釈、鑑賞、評という順で行います。まず、第一にその句の季題と季を指摘し、鑑賞に必要な知識を説明します。次に解釈ですが、ここでは十七音と省略された言葉から読み取れる内容を出来るだけ正確に話します。それに続いて、自身の知識や経験とも照らし合わせて、俳句から広がる景や心情を鑑賞します。最後に、ここが良かったという点に触れて、終わります。ここまでで、必要にして十分な句評になると思います。
 実作との関連で言えば、解釈の正確さを心がけることが、実作におけるきめ細かな表現につながります。一語一語が何を指していて、何は指していないのかを意識することで、語句の選択、省略の可否に対する感覚を養うことができます。あまり大人数の句会では難しいですが、少人数の句会で句評力を養われてはいかがでしょうか。
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「作句の基本」


Category: 俳句 > 初めての俳句   Tags: 夏潮  初めての俳句  タイドプール句会  
 タイドプール句会もスタートから1年を迎えました。そこで、9月16日は「作句の基本」ということで、これまでの話題の中から「季題」「写生」「季重なり」の3つをダイジェスト版でお話ししました。リンクは、以前にまとめたものです。

  「季題」
  「写生」
  「季重なり」

「暦」


Category: 俳句 > 初めての俳句   Tags: 夏潮  初めての俳句  タイドプール句会  
 7月15日のタイドプール句会では、「暦」をテーマにお話ししました。

 まだ梅雨も明けませんが、暦の上では夏も残りひと月をきっています。ここで言う暦の上での四季というのは、中国の二十四節気に拠っています。

 立春  2月 4日頃
(春分  3月21日頃)
 立夏  5月 6日頃
(夏至  6月22日頃)
 立秋  8月 8日頃
(秋分  9月23日頃)
 立冬 11月 8日頃
(冬至 12月22日頃)

春分を真ん中に立春から立夏の約90日間が春、夏至を真ん中に立夏から立秋が夏、立秋から立冬が秋、そして冬となっています。二十四節気は太陽と地球の位置関係を基本にしていますから、地上が温められたり冷やされたりするのに要する時間を考慮していません。そこで、感覚の上での四季との間にずれが生じます。つまり、暦の方が感覚に先んじながら四季は進行していくのです。
 歳時記も二十四節気による四季を基本にしていますから、俳句を詠む際にはこれに従う必要があります。歳時記を携えて吟行していれば少しずつ慣れますが、どうしても使いにくい季題もあります。例えば、「晩夏」というのは夏の終わりを指すものですが、二十四節気を念頭に置けば8月初旬ということになります。しかし、感覚的にはようやく夏本番という頃に「晩夏」を感じるのはなかなか難しいことです。こういう例は、ほかにいくつもあります。
 では、「晩夏」のような季題をどのように考えれば良いのでしょうか。俳句を作る時には、発見がきっかけになっていることが多いように思います。自分の環境に何か新しいものを発見すると、詩心がくすぐられて俳句になるわけです。こう考えると、俳句を作る人は常に季節に先んじたいと欲しているのだと言えます。言い換えれば、真夏に晩夏を感じられる何かを見出そうとするのが俳人だということです。季題にも、「早梅(冬)」とか「夜の秋(夏)」とか、これを裏付けるようなものがあります。こういった季題に親しむことで、少しずつ発見が積み重なっていきます。そして、暦の季節に対する違和感がなくなるのではないでしょうか。

「夏の季題」


Category: 俳句 > 初めての俳句   Tags: 夏潮  タイドプール句会  初めての俳句    
 6月17日のタイドプール句会では、「夏の季題」をテーマにお話ししました。

 新しいメンバーを迎えたので、少し大きな話をします。以前に、俳句は季題を詠う詩だという話をしました。俳句を詠もうと思ってもなかなか俳句は出来ないものです。まず、心ひかれる「季語(季題)」を探して、それを題にして五七五の俳句を詠むわけです。
 さて、歳時記には様々な季題が載っていますが、中には使い分けが難しいようなものがあります。例えば、夏には樹木、森に関する季題がたくさんあります。「新樹」、「新緑」、「若葉」、「夏木」、「夏木立」、「万緑」、「茂」、「青葉」、どれも似たような言葉ですが、それぞれ何を指しているのでしょうか。

木の本数1本数本多数
初夏新樹、若葉若葉新緑、若葉
盛夏夏木、青葉夏木立、青葉万緑、青葉、茂

比較的、幅広く使える「若葉」や「青葉」のような言葉もあれば、「夏木」と「夏木立」のように細かく使いわけるものもあります。さらに、周辺の季題を挙げてみましょう。木陰を指す季題には、「緑陰」、「夏木陰」、「木下闇」があります。「緑陰」、「夏木陰」の方が明るく、「木下闇」は暗いものを指します。風が吹けば、「若葉風」、「薫風」と呼びます。「初夏」なら「若葉風」、「盛夏」なら「薫風」です。樹木と密接な関係はないですが「南風」も夏に吹く風で、梅雨入り頃には「黒南風」、梅雨明け頃には「白南風」とも言います。
 自分の目をとめた対象を何という「季題」で言い表したら良いのか、これが吟行句会で俳句を詠む時の第一関門です。しかし、樹木とその周辺だけでも、重なり合いながらこれだけ多くの季題がひしめき合っています。歳時記や俳句を読んで知識を得ることと、吟行しながら自然の景物を目に焼き付けること、この二つを続けていかなければ、なかなか季題に親しむことはできません。何はともあれ、月例の吟行句会に参加して、季題に触れる機会を絶やさないようにして下さい。


「省略」


Category: 俳句 > 初めての俳句   Tags: 夏潮  タイドプール句会  初めての俳句  
 5月20日のタイドプール句会では、「省略」をテーマにお話ししました。

 俳句は「省略」が大切だと良く言われます。以前にお話しした「切れ字」とも関連しますが、例えば、「菜の花や月は東に日は西に」という蕪村の俳句があります。この句の場合、「菜の花や」とだけ言って、「黄色い菜の花がある程度の広さに群がり咲いている」という内容を表現しているわけです。「や」という切れ字を用いることで、「黄色」、「広さ」、「咲く」などを省略しているのです。さらに、「月は東に」、「日は西に」とだけ言うことで、「ある」、「のぼっている」、「傾いている」を省略しています。このように、効果的に言葉を省くことによって、短い俳句の中に多くの情報を盛り込むことができます。
 一つ極端な例をあげます。「桜色に桜の花の咲きにけり」という俳句があったとしましょう。省略という視点でこの句を見てみると、どうなるでしょうか。まず、上五の「桜色に」は、桜の花の色を桜色というわけですからわざわざ言うことはありません。これは省略可能です。次に、中七の「桜の花の」ですが、これも「桜」または「花」と言うだけで桜の花のことを言い表せます。これも省略可能です。そして、下五の「咲きにけり」。これも、俳句で「桜」、「花」と言えば咲いていると解釈する決まりですから、わざわざ言う必要はありません。つまり、この一句の内容は「桜」とか「花」とか言うだけで足りてしまうわけです。これは極端な例ですが、十七音しかない俳句の中で「花が咲く」というような表現をしてしまうと、その分だけ盛り込める情報が限られてきてしまいます。
 さて、作句の時に意識しやすいように、少しポイントを絞ってお話しします。一句の中で動詞をいくつも使うと、ごちゃごちゃしてわかりにくくなってしまうと言われます。例えば、自分の詠んだ俳句に動詞が三つ以上も入っていた場合は、動詞を一つ、二つ削れないか点検してみてください。先ほどの例で言えば、「月は東に」と言うようにして「ある」が削れないか、「花」と言うようにして「咲く」が削れないかということです。これだけで、かなりすっきりした俳句になると思います。
 ついでに、どうしても動詞が削りきれない場合の処理の仕方についてもお話ししていまいます。一つは、動詞をまとめるということです。一句の中で動詞が分散していると、焦点の定まらない散漫な俳句になってしまいがちです。こういう時は、動詞を並べて連続させてみてください。こうすることで、読者にひとまとまりの動きを印象づけることができます。もう一つは、主語と述語の並べ替えです。例えば、「蛙鳴く」と言うところを「鳴く蛙」とするのです。これだけで「蛙」が前面に押し出され、「鳴く」という動詞の働きを薄めることができます。
 とはいえ、こういった約束ばかりを意識していると、なかなか自由に俳句が詠めません。吟行中は、ともかく「季題」を詠うということだけを意識して、余計なことを考えない方が良いと思います。その上で、なかなか納得いく表現にならない句について、どこかを省略できないか考えてみてください。
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プロフィール

前北かおる

Author:前北かおる
 昭和53年4月28日生まれ。慶應義塾大学俳句研究会、「惜春」を経て、「夏潮」創刊に参加する。第1回黒潮賞受賞。「夏潮」運営委員を務める。平成23年5月、第一句集『ラフマニノフ』を上梓。平成27年12月、第二句集『虹の島』を上梓。千葉県八千代市在住。

 
 
 
 
初めての俳句
初めての俳句。ご自分の感興、感動を五七五にするために。
 
『夏潮』Web俳句鑑賞を担当しています。お気軽にご投稿ください。
 
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