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俳諧師 前北かおる

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村上鞆彦句集『遅日の岸』。


Category: 俳句 > 句集鑑賞その他   Tags: 村上鞆彦  遅日の岸  ふらんす堂  
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 早慶の大学生同士だった頃から句会を共にしている村上鞆彦君から、第一句集『遅日の岸』(平成27年4月、ふらんす堂刊)を送っていただきました。ありがとうございます。
 現在は、津川絵理子さんと共に「南風」主宰を務められています。近代日本文学の血統書付きと言っていい青春性と、動詞で切る引き締まった表現とが魅力の、格調高く硬派な句集です。

  ガラス戸の遠き夜火事に触れにけり
 「火事」が季題で冬。作者は、独り暮らしをしている部屋にいるのでしょう。ガラス越しの夜景の中の小さな火事の炎を、一人眺めているのです。その炎の、明るさ、色の温かみ、そういったものに惹かれて、窓ガラスに触れてみたわけです。現実を離れて遠火事を懐かしく感じたのは、冬の夜の人恋しさゆえでしょう。ガラス戸に触れるという行為に焦点をあてて、実感を失わない形で火事の美しさを描いた一句です。

  団栗の青きが握り拳の芯
  初夏の雨切株にしぶきけり
  買初や男ばかりの古書の市
  栗の花雲中に日の白熱す
  振り消してマッチの匂ふ秋の雨
  秋草や抱へて膝のなつかしき
  ガラス戸の遠き夜火事に触れにけり
  五月雨や掃けば飛びたつ畳の蛾
  塗りたてのペンキを踏んで春の蠅
  水鏡蜻蛉の羽化のすすみけり
  独り身に包丁ひとつ梨を剝く
  鴨過ぎてまた雪吊をうつす水
  いつせいに鳴る風鈴のどれ買はむ
  雨あしのやがて揃ひぬ冬紅葉
  初電車はたして海のかがやけり
  鶺鴒がとぶぱつと白ぱつと白
  春風やこころに遠く顔吹かれ
  雪置くは選ばれし山旅始
  寒梅の日向に人の入れ替はる
  あたたかや川面に鷗岸に鳩

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テーマ : 俳句    ジャンル : 小説・文学
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プロフィール

前北かおる

Author:前北かおる
 昭和53年4月28日生まれ。慶應義塾大学俳句研究会、「惜春」を経て、「夏潮」創刊に参加する。第1回黒潮賞受賞。「夏潮」運営委員を務める。平成23年5月、第一句集『ラフマニノフ』を上梓。平成27年12月、第二句集『虹の島』を上梓。千葉県八千代市在住。

 
 
 
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