原昇平句集『アスパラガス』(第零句集⑲)

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 夏潮第零句集、今月は同級生、原昇平君の『アスパラガス』です。夏潮には珍しく、孤独、寂しさを基調にした一冊です。極力情を排した詠いぶりで、淡い感触を伝えた句が魅力的です。

  晴るゝ日の少なくなりて神の留守
 「神の留守」が季題で冬。陰暦十月、神々が出雲へ行ってしまう神無月のことをこう言います。小春とも言って、太平洋側では晴れる日が多くなりますが、反対に日本海側は初雪が降り、降雨量が増えはじめる時期です。そんな地方の冬の始まりを素っ気なく詠んでいるのです。淡々と言ったことで、かえって実感の伝わってくる一句だと思いました。

  木蓮の白さばかりが雨の中
  ためらひの鋏を入れて鶏頭花
  薄味を好みし父や煮大根
  春の風邪机に頰を付けてみる
  ぱり(ぱり)と袋を開けて袋掛
  沢蟹の鋏の先の透き通る
  真白なる皿に残りし梨の水
  晴るゝ日の少なくなりて神の留守
  眠られぬ夜の眠りや虎落笛
  アスパラの穂先で空に落書きす
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