湯浅善兵衛句集『枇杷の花』(第零句集⑳)

20130604_083553-2107774191.jpg
 いよいよ第零句集第二期最後の一冊となりました。志木高、慶大俳句の大先輩で、志木高OB句会、枇杷の会の幹事を務めてくださっていた湯浅善兵衛さんの『枇杷の花』です。朴訥な感じの俳句が多く、お人柄が偲ばれる一冊です。

  地図になきカミオカンデや山笑ふ
 「山笑ふ」が季題で春。「カミオカンデ」はノーベル賞で有名になったニュートリノの実験施設ですが、作者はそんな施設があることを意識せずにこの山間の町を訪ねたのです。おそらくカーナビの地図を見ながら車を運転していたのでしょう。すると、突然、地図にも書かれていなかった「カミオカンデ」の標識が目に入ったのです。春の山が笑っているばかりのこんな土地で、ノーベル賞をもらうような実験が行われていたのかと感心したという俳句です。
 「地図になき」の一語が、新鮮な驚きを伝えていて巧みだと思いました。

  スロープを上る息子や大試験
  地図になきカミオカンデや山笑ふ
  春の波来たりて磯を舐め尽くし
  寄居虫を水に戻してじっと待つ
  山葵田の梯子を登り覗き視る
  隣家のひと雨ごとの七変化
  どこからもグラジオラスに見つめられ
  鶏頭のそぼ降る雨になほ紅き
  ミゼットの走る雲南秋の暮
  異動してべったら市も遠のきて
関連記事
スポンサーサイト



2 Comments

まだコメントはありません

GO!LEAFS!GO!

今回だけ

今回だけ貴殿より先に句集評を載せることができました。感無量です。肝心の雑誌本体は未読ですが。。。

  • 2013/06/11 (Tue) 21:49
  • REPLY

前北かおる

Re: 今回だけ

> 今回だけ貴殿より先に句集評を載せることができました。感無量です。肝心の雑誌本体は未読ですが。。。

最終レースで先着を許していまいましたか。
今回は取り上げた句がかなり重なっていましたね。

  • 2013/06/13 (Thu) 11:01
  • REPLY