池田瑠那句集『金輪際』。


 講座委員でご一緒させていただいている、「」同人の池田瑠那さんから句集『金輪際』(平成30年9月、ふらんす堂刊)をいただきました。ありがとうございます。
 小實主宰から「を代表する作家のひとり」と称賛される方の第一句集です。巻末近くに交通事故でご主人を亡くされた際の作品が並べられているのが、胸に刺さります。素材を詰め込んだ詠いぶりで賑やかな俳句が多いだけに、無念の思いを際立たせているように思いました。

  見る限り流氷群やなほ寄せ来
 「流氷」が季題で春。船で流氷の中に入り込んで、見物しているのでしょう。見渡す限りの流氷に、さらに沖合から流氷寄せてくることに圧倒されているのです。「見る限り」、「群」、「なほ」、「寄せ来」と言葉も押し寄せてくるようで、読者も圧倒されます。内容と詠いぶりとがぴったり一致した迫力ある一句です。

  花散るや金輪際のそこひまで
  さうめんや祖父ラバウルに征きて還る
  雪の日の渡り廊下の簀子かな
  顎搔けと顎出だす猫春隣
  春月にししむらの色ありにけり
  乾肉一塊猟犬と頒ち食ふ
  見る限り流氷群やなほ寄せ来
  流氷の押し合ふ形に凍りけり
  焼栗の爆ぜて匂ふや夜の駅
  朧夜や人魚の膚あをみどり
  生きてわれら暑し暑しと言ひ合へる
  探査機ゆく土星の寒き環を掠め
  汝呼べる我が息しろし並木道
  電飾に聖樹照りをり白むまで
  号砲待つかげろへる地に両手つき
  ひつぺがす網戸攀ぢんとする猫を
  火葬待つ間の飲食(おんじき)よ花うつぎ
  名を呼べば熾る門火でありにけり
  秋風や遺影にそなへオムライス
  掌にすくひ唐松落葉吹き散らす
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