句帳の清書 2000年 その6

 11月8日
大蚯蚓腹引き摺つて歩みけり

 11月8日 (11月13日 慶大俳句三田句会)
鉄塔を連ねてゐたる枯野かな

 11月8日 (11月20日 慶大俳句三田句会)
恐竜の背中のやうな枯野かな

 11月9日 (11月20日 慶大俳句三田句会)
落葉充つ水抜かれたる噴水に

 11月12日 (11月13日 慶大俳句三田句会)
冬河原眼細めて見渡しぬ

 11月15日 (11月30日 夜鷹の会)
小春日や堤の脇の変電所
街微笑してをる如し冬霞

 11月16日 (11月30日 夜鷹の会)
集めたる落葉サンタのやうに背負ひ

 11月18日
新駅の見えてをりたる落葉径

 11月19日 (11月30日 夜鷹の会)
マラソンの駆け抜けてゆく銀杏散る
着膨れて向き合うてゐて四人掛け

 11月20日 慶大俳句三田句会
野を遠く見据ゑてをりぬ檻の鷹

 11月20日 (12月4日 慶大俳句三田句会)
煌々と飯場の灯冬ざるる

 11月21日 (12月4日 慶大俳句三田句会)
横たはる冬雲の腹黒ずめる

 11月23日 浄蓮の滝(12月4日 慶大俳句三田句会)
日陰なる冬滝にして真白なる

 11月24日 天城越え(11月25日 慶大俳句三田祭句会)
旧道に文学碑あり山粧ふ

 11月25日 慶大俳句三田祭句会
湯の町をいつしかはづれ冬菜畑

 11月27日 (12月4日 慶大俳句三田句会)
冬菜畑に堤そびえてをりにけり
山茶花の夕日を受けてゐる白さ

 11月27日 (11月28日 惜春夜句会)
湯の町をいくつ素通り柿日和

 11月30日 (12月11日 慶大俳句三田句会)
浮寝鳥投網の如く広がりぬ

 12月2日 (12月18日 慶大俳句三田句会)
浮寝鳥広告塔の灯揺れ

 12月4日 (1月15日 慶大俳句三田句会)
水仙の背中に日射し受けてをり

 12月8日
冬晴や斜めに渡る大通り

 12月9日 (12月18日 慶大俳句三田句会)
パリへの旅考へてゐる落葉径
金髪のはね出てゐたる冬帽子

 12月9日
谷川の落葉かき分け流れけり

 12月12日
凩の暗闇坂を下りけり

 12月14日 (12月25日 夜鷹の会)
ラッピングされたるポインセチアかな

 12月14日
風ありて触手の如き枯尾花

 12月17日 筑波(12月18日 慶大俳句三田句会)
枯野から里の夕を見晴らしぬ

 12月20日 (12月25日 夜鷹の会)
取り壊し現場に面し蔦枯るる

 12月20日
セーターにエプロンのよく似合ひたる

 12月21日 (12月25日 夜鷹の会)
オルゴール仕掛けてありし聖樹かな
夜の風に瞬いてゐる聖樹かな
回送の電車に点る冬灯

 12月21日
思ひきつて赤いマフラーしてきたり

 12月22日
枝先にぶらさがりをる冬薔薇
ひらひらとポプラに残る黄葉かな
鳰とぷんと潜りゆきしかな

 12月25日
冬の川ささくれだちてをりにけり
雲の下の街に冬日の射しきたる

 12月26日 惜春夜句会
焚火かや狼煙の如く野にあがり

 12月26日
自転車に聖夜の飾りしてありぬ

 12月28日
ポインセチア椅子に座らせありにけり

 12月30日
卒論と云ふつつかひや去年今年
餅搗きにどつど笑ひの起こりけり
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2 Comments

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ふむふむ

懐かしさに涙が止まりませぬ。
リーダーシップを発揮された方が慶大俳句の代表だった時代ですね。

・恐竜の背中のやうな枯野かな
物凄い見立ての句ですね。

  • 2010/05/15 (Sat) 07:21
  • REPLY

前北かおる

代表は昇平君でした。

 さすがに、全句見てもらっていた時代の句は、思い切りがいいです。今後も、新たな道を切り開いていきます。

  • 2010/05/15 (Sat) 16:13
  • REPLY