本井英主宰近詠鑑賞。「夏潮」2023年5月号

  身の内にひそむ病魔も春を待つ

 「春を待つ」が季題で冬。まだ表立って症状が出ているわけではない病気が、検査の結果あきらかになったのでしょう。それを抱えながらも春を待つことだ、という俳句です。「も」の後には、「あるが」のような言葉が省略されていると解しました。つまり、病気の不安はあるが、やがて来る春とともに快方へ向かうことを願っているという理解です。「春を待つ」気持ちは切実だと思いますが、同時に治療が進めば自然に快復するはずと考えているようでもあります。どこか泰然とした態度も、「春を待つ」気持ちに通じるものがあると思いました。


  雪壁のゆがむと見えて雪崩れけり
  養ひてあやふき病寒卵
  さむざむと照らされてある踏絵かな
  あたたかや祈つてくるる人のゐて
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