本井英句集『守る』鑑賞。その3

  煮凝がごはんで溶けてゆくかをり

  「煮凝」が季題で冬。魚などを煮た汁が固まったものを言います。わざわざ固めた料理も「煮凝」ですが、この句の場合は昨晩の残りを朝食にしている感じでしょうか。ご飯は炊きたてで、煮魚の残りを冷たいまま載せて食べようとしているのです。ご飯にのせたところから煮凝が溶けてきて、食欲をそそる香りが漂ってきます。食べ物の俳句は、おいしそうに詠めとはよく言われることですが、やや無作法な食べ方であるところが余計に食欲を刺激してきます。それでいて、「煮凝」という季題も「かをり」という措辞も決して下品ではなく、絶妙な仕上がりになっています。
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