町田優人句集『いらっしゃい』(第零句集④)

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 第零句集も四冊目となりました。慶大俳句の大先輩、町田優人さんの『いらっしゃい』です。
 淡く上品な句でまとめられた一冊です。五七五のサイズにちょうど合った要素を的確に配して、すっきりと仕上げられた句が印象的でした。下五に「ありにけり」、「下がりけり」のような形が目立つことも、このような印象を持った一因かも知れません。

  春の海に胡座かきたる小島かな
 「春の海」が季題で春。うらうらと霞む春の海に、胡座をかいたような小島があったという俳句です。胡座をかいたような、というのですから、平べったい島ではなさそうですし、二つの山を持つような島でもなさそうです。おそらく、小高い山の一つあるおにぎり形の島なのでしょう。私は伊豆の利島を想像しました。「春の海」ののどかさと擬人化とによって、神話の一コマのような句に仕上げられていると感じました。

  初空に敷き広げたる都会かな
  熱燗のぬるくなりたる議論かな
  春の海に胡座かきたる小島かな
  晩秋や去来と刻む石一つ
  ごみ籠の横倒しなり犬ふぐり
  とんぼうの影にあわせて止まりけり
  路地裏に山車の休める花の昼
  メドウサを掴みし如く若布揚ぐ
  釣り銭を受く間苗木の育て方
  着崩してますます笑顔七五三
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